大学時代のカギ紛失

20年ほど前、下宿先の仲間が部屋のカギを無くした時の話です。入居した時の印象は少し神経質そうな人だなと思ったくらいで他には何も感じていなかったのですが、あるとき自分の部屋の「カギを無くした!」と顔面蒼白になりながら探していました。結局カギは見つからず普通なら寮母さんに報告して誤って、この後どうすれば良いか相談すると思うのですが、勝手に自分で鍵屋さんを呼んで開錠とカギ交換を行っていたのです。しかも新しいスペアのカギを寮母さんにも渡さず、交換したことすら事後報告もせず。寮母さんは気の優しいおばあちゃんで、朝早くに起きて私たちの居住スペースの廊下を毎日雑巾がけしてくれるからいつも清潔です。その他で居住スペースに立ち入るときはまれで下宿人が帰省中に台風などが来た時にしっかり雨戸が閉まっているかをチェックしたりしてくれるのみです。そんな寮母さんもカギを貰ってないのでチェックもできないし、その方が退去したあとも結局カギの開錠と交換をせざるを得なかったと困り顔でした。そうやって部屋の中に入ったら入り口に防犯ブザーがあって高齢の寮母さんを驚かせ、部屋にはゴミの悪臭(ゴミそのものはなかったらしいですが)がたちこめ、遮光の黒のカーテンで真っ暗だったとのこと。それを聞いて精神を病まれた方だったんだなと理解しました。当初「神経質そうだなと思っていたのにカギを無くしちゃったんだな」「カギ無くして焦るのは分かるけどこの世の終わりのように取り乱してオーバーな人だな」の違和感が妙に納得してしまいました。寮母さんも「勝手に鍵変えるな」とか「新しいカギ渡しなさい」とか言えたはずなのに、静観していたんだなと思うとさすがだなと思います。(怖くて言えなかっただけかもだけど)